はじめに
ASUSから、USでは今だ未発売(26/7/19現在)のデタッチャブル式のChromebookが本邦で発売された。レビューするのはWi-Fiモデル、ホワイトカラーなので6月初旬発売モデルとなる。今回はこのデタッチャブル(キーボード分離型)タイプの希少性と重要さ、そしてこのChromebookの利用についてレビューを行う。
徹底レビュー:タブレットではなく「PC」を持ち歩く意味
Android/iPadとの決定的な違い〜「PCライク」と「本物のPC」の壁〜
CM3206のような12インチクラスのデタッチャブルタイプを見ると、「iPadやAndroidタブレットにキーボードを付けたもの」と同じカテゴリだと認識する人もいるかもしれない。しかし、そこには明確で決定的な線引きが存在する。
それは、搭載されているOSが「モバイル用」か「PC用」か、という根本的なアーキテクチャの違いだ。
iPadやAndroidタブレットをPCライクに使おうとしたとき、必ずぶつかる壁がある。代表的なのが「ブラウザ」と「ウィンドウ操作」だ。
フル機能のPCブラウザが動くか
iPadのSafari, ChromeやAndroidのChromeはモバイル向けに設計されている。
慣れと言われるかもしれないが、タブレットやiPadにキーボードをつけてPCのつもりで使おうとしてブラウザを開くと、「違和感」と「使い勝手の悪さ」、そこから来る「思うようにいかないもどかしさ」を伴う操作感を感じることになる。
拡張機能が動かないなど機能的な問題もあるが、私としてはそんなことよりPCのブラウザの操作感がないというのが大きなマイナスポイントに感じる。
まずここでPCとして使おうというやる気が大きく削がれる。
対して、ChromeOSのブラウザは
WindowsやMacで使っているPC版ブラウザが使用可能ということだ。
あらゆる拡張機能はそのまま動き、Webアプリも問題ない。そしてやはり「PC」としての体験が維持されているということである。
つまりタブレットとPCでそもそも別デバイスなのだから比較するのがナンセンスだと言われればそうだが、「PC」として利用することを前提に比較すれば、AndroidタブレットやiPadに対して本Chromebookは明確に優れているということになる。
ウィンドウ操作感
iPad(Stage Manager等)やAndroidタブレットでも複数アプリの画面分割は可能になったが、基本思想が「全画面」である。ここでも慣れかもしれないが、ブラウザと同じもどかしい操作感に直面する。
一方、ChromeOSは最初からPCとして設計されている。ウインドウの自由な配置、サイズ変更、バックグラウンドでの挙動、そしてタッチパッド(マウス)での細かいポインタ操作やキーボードショートカットなど、操作感のすべてが「PCそのもの」である。
ペン付きデタッチャブルならNoteとして活用できる
ペン付きデタッチャブルタイプのPCならば、Noteアプリと組み合わせる事により、ノートとして活用可能である。
そして重要なのが、このChromebookはディスプレイが120Hz駆動ということである。
ノートテイキングにおいて、激しい遅延は通常利用を難しくし、快適性を損なうものだが、120Hzあると遅延は低減される方向になる。
このChromebookはやや寒色寄りの映りな気はするが、ディスプレイ自体は綺麗で問題ない。そしてペンの書き心地も悪くはない。さすがにぴったり張り付いてくるというわけではないが、よほどの速記でなければ通常使用で不満なく使えると思う。(Noteアプリ「だけ」が目的ならばタブレットの方が優れている。)
Noteアプリとしては、「Notewise」または「Notein」が良いかと思う。書き心地はほぼ同じだが違いはあるのでどちらを使うかは自身で検討してみればよいと思う。
「Notewise」は「Notein」よりも高額で、AI機能等がある。ただこれは使い方次第で、Chromebookはキャプチャ機能が優れているのでコピーは楽で、それをGoogleエコシステムのAIに入力すれば十分快適に操作できるのではないかと思う。
競合(Windowsデタッチャブル)との価格比較
このペン付きデタッチャブルタイプというPCとノート利用を兼ねて軽量に持ち歩けるデバイスだが、候補が割と少ない。13インチになると選択肢はやや広がるが、価格も大きく跳ね上がる。それにコンパクトに持ち歩きたいという要望には12インチの方が有用である。
そこで競合となる12インチのWindows機と比較を行った。価格はSurface側は最安で、Chromebook側は今回購入した構成の価格と比較した。

まずCPUだが、だいたい3倍くらい性能差がある。メモリは2倍、ストレージも8倍ある。ここはSurfaceの方が圧倒的に強い。重いWin11を快適に動作させ、他の処理もある程度こなすパワーを持つ。
上記のNoteアプリに関してだが、いくらSurfaceにペンが付いているといえど、「Windows 11でのAndroidアプリ(WSA)サポートが終了した」という事実がある。Surfaceが高性能でも、ネイティブでAndroidの優秀な手書きNoteアプリを低遅延で動かすことはもうできない。手元のタブレットでサッと書き、それをスマホと即座に同期するという『モバイルエコシステムのシームレスさ』においては、実はCM3206の方が優位に立っている。
ディスプレイはどうだろうか。もちろん解像度はChromebookも十分高いが、Surfaceはそれをさらに上回っている。しかしこの12インチの画面でそこまでの解像度は不要だと思う。私はChromebookでも70%表示の1829 X 1143で使用している。これでも文字は割と小さめだと思う。表示領域を確保しつつ目視で快適となるとこのくらいかまたはさらに大きいかではないかと思う。
なので使わない人にとってはその解像度はないのと同じので、解像度は同等と言える。面白いのが、リフレッシュレートに関してはChromebookが勝っているという事実である。ただ、もしこれでSurface側が60Hzだったら明確なChromebookの有利ポイントだったが、90Hzあるので体感的にはそこまで違わないと思う。私は60Hzは明確に残像感を感じるが90Hz以上はそこまで感じない。この辺りは人によるかもしれない。
そして価格である。価格差はChromebookの方が、94,050円安くなっている。
もちろん用途によるが、この価格差はなんとかChromebookで自分の用途を満たすことができないかと本気で策を考える始めるくらいの価格差であると思う。
そして意外と代用できると思うのでぜひ考えて採用して欲しい。
キーボードについて
最後にキーボードについて触れておこうと思う。
打鍵感は悪くなく全く問題ない。新しいChromebookのキーボードの配列も使いやすくなっていると個人的には感じている。
何より、自宅のサーバーにアクセスして作業する頻度が多いので、Fキーやショートカットキーが独立して物理的に存在するかどうかは、作業効率に直結する。このキーボードはまさに「遠隔地からサーバーを操るためのコンソール」として申し分ない作りだ。後は「G」のマークでGoogleっぽくて良いですね。

まとめ
今回レビューしたのは、12インチ、約1kg、美麗なディスプレイ、120Hz駆動、通常利用に耐える遅延レベルのペン付きデバイスである。しかし、CPUパワーはそこまで強くなく、ストレージも乏しい。
すなわち、シンクライアント活用に極めて向いているデバイスと結論できる。
手元のシンクライアントとしてのディスプレイの美しさ、リフレッシュレート、セキュリティ、悪くない打鍵感。これらを満たすことで、窓としての要件を満たしていると言える。そして購入価格を押さえ、デスクトップレベルの計算力を手にいれるのである。


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